環境論-Ⅳ
ヤオハチ
疲れていたので 餃子を食べるときによく噛まなかった それは疲れていたから
爬虫類は絶滅すればいいのに だのに 爬虫類顔の男ばかり好きになってしまう話を
してたら 不思議とは思わなかったのか ビールの向こう側にあった夜がもう背中の
辺りにせまって13日と14日の間のことがわたくしの許可なしに流れてしまっていた
眠った時には電車の中にいたのだから いったん電車に呑まれる
ここは高松
13日の終わりと14日の始まりについて そのほか わたくしのそとにあった出来事については
ほとんどすべてを疲れで片付けていた 史実
でももうこの手しかなかったんだ そのときは
ニンニクの匂いがし始めたのは13日のうち でも今度は環境汚染って言われないだろう
サクは もういない
いるけれどわたくしんとこにはいない 桜の頃にはもういなかったし しろくじちゅうもあいしてて
もう少しそとがわで終わった わたくしは そういうものには含まれにくい者 サクが飼っていたのは
ゴールデンレトリーバー とくに鼻のいい奴でね
それから
餃子の匂いはちがう人の領域をみしみしと侵している
ただこうやって乗り合わせたというだけで 結構 世の人はキセキとかいって 光るのだから
キセキにもわたくしは含まれにくいし電車というのはちゃんと地面に続いているけれど
この朝はうつくしく薄い膜につつまれていて わたくしの持ち味も隣の人の持ち味も茫洋としており
匂いによって破壊されるべきものがなにとも決まりかね 破壊というのが意思によってもたらされるもの
であるのなら一番最初に消えたがるのも意思だったはずと これは ニンニク側から
電車の輪郭は
ビールでゆがんでいて私は真っ直ぐに座っているので 隣の人後ろの人は見えない 隠れているのではないのだけれど 本当はずっと見えなかった 普通に生きていたら前しか見えないし 隣を見たら興味あると思われるよね でもそれは違うと思う ビールを飲みすぎていても あんまし気付かれないけど隠れている訳でもない
高松を抜けたらもう疲労のせいにしなくてもいいかと思った
朝焼けはきれいで 夜を越したからきれいだ 潔白なのが世界だとしたら
後の濁った部分はわたくしの為にとってあったのかもしれないと思う こんなに心地よい朝は またキセキとか言われるのだろうな 電車のリズムに合わせると 確かに愛がよぎり
めんどくさい 修正とか世間体の再提出とか って思ったら目が覚めて ペパーミントのガムを噛んだ