物と言葉
ヨルノテガム
脱ぎさしの服、腕足の長さ分ペッタリ閉じ
丸まったそのカタマリ。混ざり。
読まなくなった絵本。何冊も
埃をかぶった小物たちは残り物の中の残りもの
隠れるのは季節外れに照れ笑う炬燵の隅の方へ
捨てられなかった箱、フタは消え
CDラジカセ 壊れたまんま なにかの
土台となっている
或る誰かが ひどく転んで
膝をすり剥くとき
これらのどれかが 膝の下に そっと
挟まれていればと思う
クッション あるいは
火山のように痛む怪我が腫れ
ホッと助かる あるいは
物を蹴り上げながらも飄々と立ち上がることができる
脱ぎっ放しの服、
季節に合わなくなっていく長袖たちの色模様、
互いに相談でもしているのか、折り重なり、洗濯を待つ
或る誰か ひどく転んで そこに――
言葉が そっと 挟まれていればと思う