拡散
umineko

公園の水たまりが
薄くひらいて
境界線が
ゆらいでいる

記憶も

楽しかったこと
寂しかったことが
薄くひらいて
たとえば
晴れた日に
振り向いたとき

もう
あなたはいないのだ
たぶん
見えない粒子となって

拡散する
私は
それを自覚できない

拡散する
私の
生きる意味も

抜けるような
五月の空に




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自由詩 拡散 Copyright umineko 2010-04-29 11:00:13
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