英語訳された記事『官僚が隠す沖縄海兵隊グアム全移転』をめぐって
A-29

ジャーナリスト田中宇氏の記事『官僚が隠す沖縄海兵隊グアム全移転』がJapanFocusというサイトに英文で掲載されている。

http://www.japanfocus.org/-Tanaka-Sakai/3274

原文はこちら。

http://tanakanews.com/091210okinawa.htm

この記事は、国際情勢解説者、田中 宇(たなか・さかい)氏が、普天間基地を抱える宜野湾市の伊波市長ら宜野湾市役所の人々が調べた情報を元に書いたものである。

その内容をかいつまんで説明すると、日本のマスコミや国会では「沖縄からグアムに移転するのは、海兵隊の司令部が中心であり、ヘリコプター部隊や地上戦闘部隊などの実戦部隊は沖縄に残る」という説明であるが、じつは司令部だけでなく、沖縄海兵隊のほとんどすべてが2014年までにグアム島に移転する計画を米軍がすでに実施しているという話しだ。

この話しをいくらか多角的にフォローしたくて、いろいろ検索してみたが、今のところ、マスコミやネット等での注目度は低い。そんな中、この記事がJapanFocusというサイトに英文で紹介されたと知ったので覗いてみた。するとこの記事に対してJohn McGlynnという人がコメントを寄せていた。この人がどういう人か、まったく不明だが、至極まっとうな意見であるので、日本語に訳して紹介したい。ただし、私の英語力はそうとう怪しい。

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ジョン・マクグリン
田中と伊波が突き止めたこの重要な情報をめぐっては、日米の主要なメディアに論争が起き、沖縄・普天間・グアム問題の全体が見直されることが期待される。また、海兵隊グアム転属に関する米側文書は、この記事による暴露を考慮して再吟味される必要があるだろう。

米側文書といえば、信頼性と客観性を有する米国連邦議会行政監査局(GAO:General Accountability Office)が、2007年と2008年に実施した在沖米軍グアム転属に関するペンタゴン計画の査定において、次のことを述べていることが特筆されるべきであろう。すなわち、グアム統合軍事開発計画(Guam Integrated Military Development Plan)は"非現実的(notional)"なものであり、米国連邦議会へ一定の報告要件を満たして提出される"基本計画(master plan) "とはかなりかけ離れたものであるかもしれないというのだ。

この米国連邦議会行政監査局が行なったグアム統合軍事開発計画の性格付けが正しいとすれば、田中の分析は米太平洋防衛計画のいっそうの拡張政策を理解しそこなうという誤りを犯していることになるのかもしれない。

ペンタゴンが沖縄から転属する海兵隊の部隊を収容できるグアム施設を建設し、なおかつ辺野古への普天間移設計画を要求し続け、辺野古に新しい建設が実現するならば、米軍はけっきょく、辺野古とグアムにできた新品の施設の間を行ったり来たりするという贅沢を味わえることになる。

あるいは結局「グアム拡張」なるものは、ペンタゴンが辺野古移設が実行されず、おまけに日本政府が普天間駐留中の海兵隊部隊に対して沖縄からの撤退を要求した場合を想定して用意した代替案に過ぎず、田中はそのことを見抜けなかったということになるのかも知れない。

いずれにしても、分析の不足を以って田中を非難することはできない。我々はいつか結末を見るだろうが、米当局者が公表しない限り、ペンタゴンがいかにしてその選択肢を「三角化処理」したかはおそらく我々の知るところとはなりえないだろう。
ジョン・マクグリン
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なんであれ、アメリカがどうしても「現行案」にこだわらなければならない理由はなさそうだ。「杭打ち桟橋」とか「徳之島」だとかで片付けちゃダメ、ダメ。


散文(批評随筆小説等) 英語訳された記事『官僚が隠す沖縄海兵隊グアム全移転』をめぐって Copyright A-29 2010-04-29 10:30:29
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