青年の像 
服部 剛

いつも背後で見守っている 
姿の無い彫刻家は 
私という素材の上辺を削ろうと 
鋭く光る刃を、手にしている。 

身を削る、痛みを越えて 
素材の中から彫り出され 
姿をあらわす、人の像。  

彫刻家は今日も私を、彫るだろう。 

涙を振り払いながらも 
ぎらり、と瞳を光らせ 
土砂降りの雨の中
傘も差さずに地上の旅を、闊歩する 
「青年の像」が、姿をあらわす迄。 





自由詩 青年の像  Copyright 服部 剛 2010-04-27 23:24:02
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