たんぽぽの季節
木葉 揺

たんぽぽの綿毛とんでゆく
私がふーっと吹いたから
可愛い茎を
一番上の引き出しに入れて
鍵をかけるんだ

それでも
引越しのときに
机は置いてきた
砂だらけの空き家に

春はきらいなんだ
落ち葉と遊ぶ秋が好き
枯れ葉の声に耳傾けて
のどを鳴らした陽だまり
使える服は似ているけれど
私の色を添えられる

たんぽぽの咲く季節
また来るのだろうか
いつもそう思う
たんぽぽに罪はなく
また綿毛になるのに

新しい生活を
こなしてゆける
そんな春があることを
まだ知らない


自由詩 たんぽぽの季節 Copyright 木葉 揺 2010-04-22 17:15:58
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