垂れ流し×20
ぽこぽこへッへ

棘のある野薔薇にそっと口づけるようにお酒を飲みなよ、きみは

お星様 えいえい力込めましょう 割れたら海に 捨てておきます

エメラルドグリーンのバッズ 煤焼けた肺に早蕨芽吹き、噎せる

ガラスから吐き出す糸を手繰り寄せ 白い煙のセーターを編む

鮮やかなカッパーオレンジで突き刺さる あの頃のこと まだ覚えてる?

ホルマリン漬けにしてある思い出は 心の奥深くの保管庫

色盲の彼のまつ毛の松明は あの世を照らす青白い火

小鼻から湧いた油の 浮世絵は 絵具代わりのスプレーで描いた

憤る数が多ければ多いほど 普段は見えない自分に気づく

ぶつかって丸みが取れた刃から 桜も散れば 雨も降ったろう

なだらかに 弱るくらげを撫でながら 君の乳房を 思い出してる

ぶつ切りにされたまぐろと 見つめあう それが彼女と気がつくまでは

草叢で 死んでいる人いるならば その草を食む羊になる

七転び八起きしたのになぜだろう ここはベルトコンベアーの上だ

阿武隈に降る、熟された光る水 落ち葉が湿るわけが分かった

丸三日、死ぬことだけを考えた 寝たり起きたりしただけだった

めくらまし かけるかきみは くちびるの ゆれたさきから まぼろしみたく

魔が差して、不意に罪だけ犯したくなる瞬間に、セコムをしたい

7色に光る虹などありゃしない せいぜい3つか4つくらいだ

陽の当たる欲が無いのをいいことにきみであろうとするきみだ、また


短歌 垂れ流し×20 Copyright ぽこぽこへッへ 2010-04-21 14:23:44
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