穂明
木立 悟
巨きすぎる絵を
照らす拍手
また
照らす拍手
葉の影が
頬から動かない
音なでる指
なでる指
縦の水に沿い
三つの魂が立っている
渦の音 見えぬもののための
渦の音
霧雨のなか繰り返す
何処にも着かないものを放る
途切れ光る端
触れては離れる
雷鳴が窓をひろげる
遠いままの夜
うたも水も
夜を残しては去る
色は巡り 尾は巡る
絵の上に重なり はためく絵
倒れた夜に
寄り添う夜
風のなかの見えぬ手が
見える手に触れ見える手となり
水に息にかたちを変える
三つの魂をつなぐ音
銀の銀 光の無さ
窓の千年 千年の群れ
夜の終わりではない朝の
静かな静かな満ち干きを聴く