時給はそこそこのお店です
国産和風モモンガ

こんなふうにはじまって

   ひさしぶりにメールしますよ。

ひとくさり話をして

   くだらないことばっかゆってごめんね。

と終わり追伸には

   追伸は…、今日はなし。

とあって、メールに追伸とかは別にいらないのに、返信すると

   昨日、体調わるくて
   ぷぎゃーしてた時のだから
   シカトしてくれてだいじょぶだったよ

ときたけど
《余計なお世話だ》というつもりなのか
《心配かけてすまん》なのか
《返信ありがとう》なのか
会っても話題にしないから

「やんちゃだね」
「やんちゃだな」

白昼堂々公然と口論する
年老いて
二人の子供を連れた
外食が義務のようになってしまった
餌付けのように下の子に肉を与えてる
安くて薄い服にナプキンを首に巻いて
ぶすっとした顔 網の上の生焼けの野菜を
いじくりながら もぐもぐしながら
おたがい自分の箸の先ばかり見つめている夫婦の
もめごとが一向に忘れ去られないぎすぎすした空気を
給仕をしながら つまりはまぁ、片手におさまる注文取りを電子化した機械で
恥ずかしい安っぽいポップな名前の料理名を 復唱したりする その合間に

「不機嫌だな(小声で)」
「ですね」


自由詩 時給はそこそこのお店です Copyright 国産和風モモンガ 2010-04-20 13:56:38
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