雲のころ。。。 / 株式会社歌仙興行吟行
鵜飼千代子
++ 雲のころ。。。 ++
水のひら指先潜り鰯雲
雲の川街道並木に落つ銀杏
冷ややかな風に身を濯ぐ日溜まりで
秋浅し射し日の強さや汗拭う
ちろろむし耳に涼しく昼寝かな
栗虫や出て来るなよと皮を剥き
撓わなる銀杏の実よ落ちて来い
山牛蒡覇気を実に溜め反り返る
秋桜や空をくすぐる羽根ぼうき
行き止まるコスモスの路地空の園
秋桜の背の高さと丈比べ
悠久のしじま砕きたれば今生く
背にはやし身に沁む葛葉捧げ見る
コスモスやおむすびの中の梅干しや
雹ゆえに半身裸の立木かな
雀群れコスモス畑かすめ飛ぶ
石段を登りて着きぬ方位石
季語溢るるも念いは空に吸い取られ
雨降るも花火の揚がる体育の日
真綿雲空に滲ませ千切り絵や
山の手の光納の水天宮
コトリ鳴るポスト嬉しき松納
抽選日茶柱立ちて花正月
*
++ 株式会社歌仙興行吟行 ++
☆三十六歌仙「春の泥舟」より
裏三 御来光俟てど暮らせど逆回転
☆三十六歌仙「初春や持ち上げて落とす人」より
ニの折(名残折)
十一 犇めく土蚕豆の花可憐なり
☆自由百韻「ベロニカ」
初折表
008 なずな見上ぐる夢馳せる空
二折裏
038 侘助のさま見事なり
041 コケッコといい気な文や朝ぼらけ
047 夏蕨視界爽快涙飛び