浮泳ぎ
りこ
淡紅色の水水しい肌に結びつく成長ホルモン
その道すじを振り乱して泳ぐ姿は
それぞれ脂の乗った、見事な鮭
美しい女子高生の群れです
信号の向こう側に居る人々
の
仕立て上げられた
スカート
から
は、もうじき
脚が生えます
履き慣れない靴に詰め込んで
向かいます
こぼれ落ちるうろこに誘われてやってくる雲状斑
(それは、ひとまわりも大きな鮭でした)
誰かと一緒に川を上ろう、なんて
春は罪です嘆きです
名簿順に並べられた名前
と
点呼に戸惑う容姿
を
隠し切れないくせに
目が合えば、手探りで微笑み合います
毎朝、廊下を流れて
同じ場所に着席、
流されては
着席、
を、
繰り返してそれでも
泳ぎたい
という習性が
私たちを変えて行く
皆、向かいます
群れを成す鮭
流れに逆らって浮き泳ぐ私も鮭の仲間
起用に電話を飼いならす鮭の仲間
女子高生の春はまだ、青青としています