分業
nick

ラジオとうごめき
前の部屋の匂い
寝る前は寂しがり
窓を開けたくても開けられずにいる

お酒が好きだった
タバコは吸わなかった
気前がよかったが
すぐ顔に出るので
こちらも言葉に気をつけていた

結露した窓をすべる
カビてしまわないよう全て吸い取る
このように、純粋な水であれたらと思うが
やはりそれでは嫌だとまた思う

殴りたかった
抱きしめたかった
感動的な台詞はどこにも飛べなかった
心を開閉して伝えようとした
だけどそれは

窓の外は雨だ
夜だ
雨だ

そして朝は言葉もなく
となりで歯を磨いてほしかった

会えないのに
そこらじゅうにあなたはいるね


自由詩 分業 Copyright nick 2010-04-17 04:44:55
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