天秤
夏川ゆう
天秤が上下に揺れる様子見て火星の重さ勝手に測る
SFの小説読んで夜空見る広い宇宙は嘘の塊
苦しみを和らげようとする笑顔恋に仕事に拘束される
欲しかった望遠鏡を手に入れて覗けば見える前世の景色
久々に冷凍みかん食べ尽くす夏待ち侘びる氷のぼやき
麦藁の帽子を被り散歩する古き良き時代感じるアンテナ
電話にて孫と会話をする妻が子供に戻る秘密の時間
太陽のことは無視して夕闇がカーテンとなり闇を愛する
お金では買えないものがあるという人の心は空より高い
電話すら鳴らない暇な日曜日お菓子の味が忘れられない