ちょうどいい距離
くらげ
温もりの距離ってどのくらいですか
離れていると今にも凍えそうに寒い
いたたまれずに寄り添う程に近づくと、あなたはふわふわして、何処からともなく飛んできた綿毛が鼻先をくすぐったりして、
よく晴れた春先縁側でまどろむみたいにホカホカ気持ちいい
でもじきにあなたの心は、風に舞う風船みたいに何処かへ飛んで行く
抜け殻になったあなたの肌は氷のように冷たい!
冷え切ったリノリウムの床にしゃがみ込み頬を当てた、少女だった頃の記憶が何故かよぎる
こんなに生きて、何度も泣いて、あんなに傷ついてもまだ人と通え逢えないわたしが、生まれながらのもぬけの殻なんだ