ダイブ
吉岡ペペロ
もうじぶんから発するほど電磁波を浴びていた
年度末の翌月はいつもこんなだ
正社員のひとたちはみんな帰ってしまった
あたしはあたしをぼくと呼びたくなった
ぼくのことをぼくたちと呼びたくなった
先週からずっとこんなかんじだ
大井町線へののりかえに時間をとってしまって
夜のすみのほうで置き去りにされてしまって
強い風や雨で寒い道をぼくたちは帰る
ぼくたちはみんなだれかとどこか似ている
あ、駅に着いた
外灯に白くぬれながら
無生物たちの励ましを受けている
ぼくたちはみんなだれかとどこか似ている
あたしはあたしをぼくと呼びたくなった
ぼくのことをぼくたちと呼びたくなった
ああ、だれか、あたしのこころにダイブしてくれないか