水と水
木立 悟






砂の柱を
鳥は巡る
灰の声 遠い
雨の光


空に倒れ
曇は起ち
飛沫は器
唱うものの目


わたしは横たわり
あなたは横たわる
草になる日が
またひとつ近づく


交わらぬ道
合図のように
鳴り響く虹
生じ 消え去る


けだもの けだもの
あるがままのもの
牙の切れ端
次の宇宙へ


はざまは震え
はざまは透る
闇が闇を闇へ押し出し
白と黒が 白と黒へと暴かれる


水の縦 水の横
従者が望む指笛の境界
秋を土にひたひたたたみ
冬は冬へ冬へ重なる


想い出の失い水から
熱は打ち寄せる
持ち去られ また持ち去られ
満たされることなく満たされる


岩に囲まれ
水は狭まる
入江と無言
すぎる波の 頂から頂


眠りのはざまを雨は去り
昼から午後へのかたちにしたたる
目覚めたものが見る光
冠のように地に満ちる


























自由詩 水と水 Copyright 木立 悟 2010-04-11 03:39:30
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