Flying Cats
Oz

寒い
だから余計目は開かない
遠くの方から誰かが僕を呼んでいる
そっと
頬を叩いている

猫が空を飛んでいる
1匹じゃない
何匹もの猫が
鳥が飛ぶ代わりに猫が飛んでいる
僕は喉を鳴らして
猫を呼ぶ
「ゴロニャーン」
コチラを一瞥して
何も無かったかのように
何処かへ
スーパーマンみたいな格好で
前足と後ろ足をピンと伸ばして
方向転換する時は
シッポで舵をとる
そんな風に
猫が空を
あっちへ
こっちへ

つまり、これは夢ってこと
こんなあからさまな夢は
現実を逆に強固なものにする
それに誰かが僕を呼んでいる
はいはい、起きますよ

それに猫は
地面で寝そべって
毛繕いしてる方が
僕は好きだ
そうでしょ?
それに誰かが頬を叩いている
はいはい、
もう起きますよ

僕は目を閉じて
意識を集中する
体が浮かぶイメージ
誰かが僕を呼んでいる
誰かが頬を叩いている

「ゴロニャーン」
ベットの上
猫が僕の鼻頭を舐めていた

「呼んでいたのはお前だったのか?」

猫を持ち上げ聞いてみた
返事はない
暖房が消えていた
寒いみたいで
毛を逆立てていた

あの夢以来
家に一人でいると
誰かに呼ばれた気が起きる
もちろん
ソコには猫がいて
何か催促をしている

「ゴロニャーン」

「呼んでいたのはお前だったのか?」

そんなやりとりがいとおしいのだ


散文(批評随筆小説等) Flying Cats Copyright Oz 2010-04-08 23:24:45
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