春の別れ
まどろむ海月




  ? ためらう水紋


しぐれる春
名残りの花に
しずくしたたり
風もよう 波もよう
光さすらひ 想いまよひ

水紋 水紋 水紋 水紋 …



繰りかえし くりかえし

もどるも ゆくも

あたたかなはるのなかで








  ? いつかのティータイム



珊瑚礁の光のかなた
陽炎のなかの午後


シャム猫の手足の
白いテーブルに
白い椅子


かぐわしい匂に酔ひ
甘く温かい流れが
身体の奥に届いて
わたしはほっと
息をつく


透明なあなたの
ピアノのそよぎが
耳に触れるのは


約束された

「いつか…」








  ? 光の指


水の花が 青空に咲き
あなたの波紋に ほころんだ


時は優しさに洗われて
思い出を柔らかに染める




 遠い島に遺してきた
 憧れが呼びかけるが


 昨日の風は
 哀しみの迷路に
 とまどうばかり





春は微笑みを 地平に奏で
野にも花畑にも 光の指が舞う


 鳥よ
 あたたかな季節に包まれて
 君はまっすぐに飛びなさい


 若い命が導く
 明日の窓の
 彼方に





         








自由詩 春の別れ Copyright まどろむ海月 2010-04-06 21:01:46
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