今夜もまた不意になった想いがひとつ
メチターチェリ

今夜もまた 不意になった想いがひとつ
出店の焼きとうもろこしと一緒に胃の中に消えた
溶けたでんぷんは腸を渡り吸収され
明日を生きる活力となって
新たな恋に動かせてくれるだろうか
みんなで始めた花見の宴会
彼女は後輩の男子とやけに親しく
時には肩まで組んで
宴が散会するころには二人でどこかに消えていた
一年下の経済学部
バイタリティーあふれる男
健康的なポーズは彼女とつりあっていた かもしれない
夜桜の下ではすべてが幻影じみている
つかの間の春を陽気に振る舞い
焼きイカの味は過分に塩辛い
エステラーゼ プロテアーゼ アミラーゼ
酒と肴がすべて分解されるころになっても
胸の中には消化しきれないものがあった
胃酸欠乏の不健康男児に必要なのは
健胃剤よりも寝酒であろう


自由詩 今夜もまた不意になった想いがひとつ Copyright メチターチェリ 2010-04-06 06:55:57
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