最後に残るのは苦しみ
within

精錬された中指に
溶け落ちるクリーム
最後に残るのは苦しみ

蒸気圧がどんどん落ちて
すり替えが始まる

いつになっても
立っているだけの案山子が
ピエロのように
一粒の涙を舐める

あなたの塩辛さが
脳裡に仕舞われるとき
抽斗は、もう海だ

鷺の啼く声が響く
手を伸ばしても
空には届かないのに
空は枝に絡み取られる
メリメリと
キリキリと
嗚咽をあげながら
空に根を張る

墓場でもなく
空にばらまかれる内臓は
ちりぢりに
白い蒸気は
真っ黒な機関車を走らせる

雲透きを待ち
うすぼんやりと
煙突が並んでいる
終末は継続中で
今日も野草を摘み取り
それを犬が食む

恥を捨てられない顔が歪み
狂い始めた水面にゆれる
隠蔽された屍

硬直した肉体は
もう寄り添うことはない
花とともに蒸発してゆく


自由詩 最後に残るのは苦しみ Copyright within 2010-04-04 22:00:09
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