信じていない
イシダユーリ

あのひと
どっかで
こきゅうしてる
がたがた
ふるえる
じめんの
ように
とうぜんの
こと

きのうおそうしきだったよ
おやまのふもとで
やかれたよ
こころのこりだったろうね
たくさんの
こぼれおちる
すなが
まだのこっていたから
せかいに
しょうめいしてやらなくちゃ
どうしようもない
いろ いろ を
みせつけてやらなくちゃ
せかいに
こころのこりだった
そんなわけないね
いつだって
しにたがってたんだもの
いつだって
けれど
はいが
のこってしまうのは
いやだから
どっかで
こきゅうしてる
くるしくなって
たちどまる
りゆうを
おしえておくれよ

性から
脱落するように
毎日セックスをする
運ばれてきた気分になっている
地面があたりまえに揺れるから
きみのまつげが日々細くなる
眠いな
きみは空洞だから
空洞のように扱ってきたけれど
どうやら間違っていたみたいだ
声がひびいていた
倍音で
皮膚がいっせいに
泡立った
きみの思想を
モッツアレラチーズの
かたまりに
変換したい
たべすぎて
トイレにながす
排泄物
殺したい
きみのからだいがいの
きみのすべてを
晴れわたるんだろうな
そして
鳥が滅亡したことも
もう
胸をおしつぶさない
 愛をしらないんだ
 けれど
 輝いているものを
 みると
 からだが
 豪雨だよ
 コンクリートに
 からだが
 思いきり
 打ちつけられるよ
 粒になって
 うらやましい
 きえてほしい
 わたしは
 支配する
 空だから
 かんぜんに
 きえてほしい
 ぬらしたり
 てらしたり
 どうやったって
 わたしが
 するから
 きえてほしい
 かんぜんに
 土下座や
 負け犬の目なら
 日常だよ
 これ
 ぜんぶ
 あげるよ
 もらいに
 きてよ
 けだものの
 足に
 すがりついて
 頬を
 傷つける
 愛をしらないのに

どこかで
こきゅうを
している
どこかで
かってに
うまれて
しんでいく
ここまでは
ほんとうのはなし
電車に
轢かれて
ばらばらになる
と言い
そのように
苦しい
と言い
それはみんな
おまえのせいだ
と言い
きみたちが
はなすような
女の子も
男の子も
この世には
いやしないんだよ
いいかげん
目を覚ませよ
そして
ただのにくのかたまり
ただのこきゅう
ただのかみ
ただのリズム
ただのきかい

言い
そのどれもが
まちがっていて
ただ
わたしは
わたしで
きみというきみを
きりきざみたい
だけの
わたし
空洞ではなかったみたいだ
間違っていたから
生活を
はじめなければならないし
家族という
ひどいものに
ならなければならない
よろこんで
うらぎられよう
どきどきして
うらぎろう


冬の空は
とてもきれいだ


なまえの
しらない
ひとの
あいだを
ぬって
せんたくを
した
しあわせも
ふしあわせも
なく
どこかで
こきゅうを
している
それだけが
ゆれる
じめんが
おしえてくれる
こと


自由詩 信じていない Copyright イシダユーリ 2010-04-04 14:27:23
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