路上で
ゆびのおと
白猫が 轢き潰された
昔 よく通った道だったし
車の量は多かったけど
それほど危険だとは思っていなかった
まるで 散歩するような 足取りだった
轢いた車は 派手な 高級車
派手に音楽を鳴らしていて
痩せた白猫になど 気が付かなかったらしい
いや
一瞬 見えていたのだ 目の端に
でも 人間ではなかったし
こんなところを 警戒もしないでふらふら歩くほうが悪い
と
思ったかどうか
ほんの少し ねこのほうに寄り
両輪 乗り上げたのが 見えた
時々 思い出してみる
ああ 嫌な感触だったな と
生き物を潰すのは 嫌なものだ と思えるうちは
自分もまだ 人間だ と
路上にへばり付いた
潰された白猫のからだは
少し滑稽で
少し悲しい