路上で
ゆびのおと

白猫が 轢き潰された
昔 よく通った道だったし
車の量は多かったけど
それほど危険だとは思っていなかった

まるで 散歩するような 足取りだった

轢いた車は 派手な 高級車
派手に音楽を鳴らしていて
痩せた白猫になど 気が付かなかったらしい

いや
一瞬 見えていたのだ 目の端に

でも 人間ではなかったし
こんなところを 警戒もしないでふらふら歩くほうが悪い


思ったかどうか

ほんの少し ねこのほうに寄り
両輪 乗り上げたのが 見えた

時々 思い出してみる
ああ 嫌な感触だったな と

生き物を潰すのは 嫌なものだ と思えるうちは
自分もまだ 人間だ と

路上にへばり付いた
潰された白猫のからだは

少し滑稽で
少し悲しい


自由詩 路上で Copyright ゆびのおと 2010-04-03 07:27:39
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