合わせ鏡
靜ト

大丈夫だよ
すべてわかっているよ
きみの渡そうとしている箱の中身も
それについた小さなメッセージカードの言葉も
わかっているという言葉の不確かさと愛しさも
だからそんな顔しないで
外はばかみたいにからからに晴れて
こんな日は世界が明るく見えるねっていつか話したような

子供の頃
大人は泣かない生き物だと思ってた
だから、振り向いた母がぐしゃぐしゃに泣いているのをみたとき
なんていうか、ぞっとした

君をみてたらそんなことを思い出した
でもなんでだろう
きっと君はいつもあたたかすぎるから

でも大丈夫
すべてわかっているから
君もわたしをわかっているんでしょう?
それもわかっていて、それも君がわかっていて…
ほら、合わせ鏡ってしたことあるでしょ
二人はあれみたいにわかりあっている
面白いね
笑うことと泣くことはよくにてるって、昨日本で読んだよ
だから笑って


合わせ鏡はいつもひんやりと
柔らかで静かな緑色の世界
幻はいつだって悲しく光ってた
粉々に砕けたらむしろ、一層強く、光ってた


自由詩 合わせ鏡 Copyright 靜ト 2010-04-02 17:22:41
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