合わせ鏡
靜ト
大丈夫だよ
すべてわかっているよ
きみの渡そうとしている箱の中身も
それについた小さなメッセージカードの言葉も
わかっているという言葉の不確かさと愛しさも
だからそんな顔しないで
外はばかみたいにからからに晴れて
こんな日は世界が明るく見えるねっていつか話したような
子供の頃
大人は泣かない生き物だと思ってた
だから、振り向いた母がぐしゃぐしゃに泣いているのをみたとき
なんていうか、ぞっとした
君をみてたらそんなことを思い出した
でもなんでだろう
きっと君はいつもあたたかすぎるから
でも大丈夫
すべてわかっているから
君もわたしをわかっているんでしょう?
それもわかっていて、それも君がわかっていて…
ほら、合わせ鏡ってしたことあるでしょ
二人はあれみたいにわかりあっている
面白いね
笑うことと泣くことはよくにてるって、昨日本で読んだよ
だから笑って
合わせ鏡はいつもひんやりと
柔らかで静かな緑色の世界
幻はいつだって悲しく光ってた
粉々に砕けたらむしろ、一層強く、光ってた