そうか、これもきみとのものか。
あぐり




うばっていくんだろうとおもっていたんだ
記憶もにおいも痛みも。
酸素さえぼくらは不必要に摂取してしまうのだから
なにかを共有することなんて出来ない



ひとつのせかいをつくってみたが
やっぱりそれの所有者は複数ね
わたしだけのものなんてないのだ
そう、このからだだって
おとうさん
ほしいものは、ひとつです。

春の雨。
ふいに横をすぎていった女の子をひっぱたいた
彼女の今の衝撃は
わたしだけのものだろうか



くだらないのでぼくはつめを切ったあとに
そのつめのひとつひとつに色をぬっていく
燃えて崩れ落ちるそのときまで
どうかぼくだけのものだと生きてくれないか。
どうだろう、そんなことを
だれがのぞんで いるんだろう





自由詩 そうか、これもきみとのものか。 Copyright あぐり 2010-04-01 16:31:45
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