退屈
瑠王



待合い室で座っていると隣に「過去」が座っていた

反対側を見るとそこでは「未来」が新聞を読んでいた

「過去」はそわそわと落ち着かず何度も鏡を見ている

「未来」は老眼鏡をずらしてちらちらとこちらを窺っている

暫くすると、英国紳士風の男が「過去」を迎えにやって来た

どうやらリゾートへハネムーンにでも行くらしい

はにかみ屋だった彼女がどうりで珍しく派手な装いをしているわけだ

嬉しそうに腕を組むと缶を鳴らしていってしまった

それを見ていた「未来」が煙草を勧めてきた

好きな銘柄ではなかったので断ると

恥知らずめ!と

顔を真っ赤にして怒って出ていってしまった

彼とはほとほと馬が合わない

それから程なくして、見計らったように

「来世」がやってきた



自由詩 退屈 Copyright 瑠王 2010-03-29 17:03:49
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