黄色い花
さき

知らずに
湧き出る
美しい泉を
探す
旅から
私は
知らずに
戻っていた


「きっとまだ
 あそこにあるに違いない」


やっと戻った
夢見がちな私に
窓辺の黄色くて小さい花は
幸せそうに
微笑んでいた
この場所が永遠
いつまでも
いつまでも
咲いていられると
本気で
信じている
ようだった


私は
知らない振りして
実は知っていた
手に入るなら
この身が滅びても良いと
思っているのに
探しても
そんなものは
ないかも知れない
ということ
だから
敢えて
探さずに
あるかも知れないという希望を
この世に残していたんだ
李徴という名の虎にも
全く同感する
毎日
あの伝説の
美しい泉以外
全てが上の空で
くだらないことのようだった


それがね
なんだか
その可愛らしい黄色の花が
最近見つからないんだ
いつでも窓辺にあるって
思っていたのにね


あの花は
きっと
私に旅の終わりを告げた花で
大切にすべき
可愛い花だったんだ


旅は終わった
私はそれを
やっと知った
なのに
ほんとに
どこに行ってしまったのだろう












自由詩 黄色い花 Copyright さき 2010-03-28 23:09:46
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