しべ

ふるい塗料で
世のなかに
送電線は雨や 風

紙粘土の鉄塔が
削り取られ
魚のように
崩れそうに

土草ミズ艸
田んぼ道の
泥濘む足元に

横たえられてら


目の前の水たまり

割れたアスファルトが
右カーブで
除鉄機に寄り添って
新しめ
 白練の
給水タンクも
眠ってる


そっちへ歩くの



ビニール傘の 遥かうえ
一々冷たい
雨風の その遥かうえを
切っ先に

音の届く ぎりぎりまで
電線8本縫うように
弦もするりと とんでいる


くぐもった 色の孕んだ
南東の
雲の間へ 向かおうよ

川くらく

コンビニエンスストアの灯りが
とても小さく
心細

重い滴が
バチンと叩く
ビニールの隙間
雨粒は

地図を描いて
昨日の
道に拾われ
みちあかり

国道の
車の群れが
遠くなる

家に帰れ
遠くなる


自由詩Copyright しべ 2010-03-28 17:35:58
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