鏨(たがね)
……とある蛙
鏨(たがね)を打ち込む
光沢のある表面に
一閃の傷をつける
堅固な光沢のある表面に
鏨(たがね)を打ち込む
切断する術は腕一つ
ハンマーふりおろしの際の微妙な躊躇は
表面を滑り鏨たがねを殺す。
切断する決断
その覚悟はある。
覚悟いう名の勇気
鏨(たがね) それ自体では
本来の機能を果たせない
必要なのは
コントロールされた打撃(暴力)
ハンマーによる打撃(暴力)が不可欠
機能の異なる二つの暴力の出会いが
不可能と思われる
堅固な金属の切断を そして
素材の生成を可能にする。
そこから日本的鍛えるという行為
鍛造することの厳しさ辛さ
鏨(たがね)の存在は不可欠だが
鏨(たがね)があっても
打撃のない空気の中に
なにを求めろ というのか
鍛造すべき素材が
未だ存在しない。
遅い 遅い
切断のための決断のみか