娘よ
森の猫

君と初めて会ったとき
あたしの顔を
しっかりと見つめてくれた

とても新生児とは
思えない
子供子供したまっすぐな
瞳だった

ぷにぷにの手首
やわらかいほっぺ
君は家族の中心になった

お兄ちゃん お姉ちゃんに
可愛がられ
いつも笑っていたね

足の不自由なお兄ちゃんに
おむつをかえてもらい

小学生のお姉ちゃんに
おんぶしてもらって

お兄ちゃんの車椅子で
つかまり立ちをした君

お兄ちゃんの車椅子のひざは
君の指定席だった

保育園では
狭い園庭を走り回り
はだしで
昇り棒を登る
おてんばぶりを発揮

引越した小学校にも
すぐ慣れて
一番 地域になじんだね

いじめをものともせず
学校を休まず通い
そろばん塾の大会では
いつもトロフィーを
得意げに持ち帰った

休みがちのママに代わって
お兄ちゃんの介護を手伝い
お兄ちゃんとも大の仲良し
国語の音読をいつも聞いて
もらっていた

ネットに熱中しすぎて
夜更かししても
ちゃんと朝ごはんを食べて
走って登校

先生や下級生からの信頼も厚く
”言うことなし”のお墨付き

でも 前に出るのは嫌い
カメラを向けると
逃げてしまう 君

君よ
よくぞ
ここまで大きくなってくれた

もう とうにママを追い越し
大きな足では
すぐ くつ下に穴があく

まぶしかったな
君が
卒業の花道を
上向き加減に歩いてきたとき

これらのことが
走馬灯のようによみがえった

愛しい君よ
卒業 おめでとう


自由詩 娘よ Copyright 森の猫 2010-03-27 02:16:11
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