ヴァージンロードを歩きたい
乱太郎
ヴァージンロードを歩きたい
――ある難病の女性の話から
歩いてみたい
この道を
車椅子から立ち上がって
遠い道
遥か彼方にあなたがいて
本当はだいぶ前から
あなたは傍にいたけど
今は小さく見える
隣には父
育ててくれたその腕が
赤ん坊だった時みたいに大きく
さらに大きく感じて
抱きかかえられて
私は立ち上がった
一歩
あなたが少し大きくなった
二歩
あなたはもう少し大きく感じる
母の横を通り過ぎて
立ち止まる
もう歩けない
だめだわと思っていたら
あなたがそっとわたしの脇を
何も言わずに笑っている
あなたと歩いたヴァージンロード
ずっとこれからも
あなたに助けてもらって
きっと死ぬまで
あなたに世話になって
ヴァージンロードはどこまでも続く