降り来る言葉 XLVI
木立 悟






非対称のしあわせ
暗がりのむらさき
すれちがう音
知ることなく去る音に
黒が結ぶ蒼


星ぬぐう想い
明かりの消えた
棘 棘 棘
招びよせたなら
(ぬくもりなら)


舌の上の陽
舌の森には
樹は無く樹は在り
直ぐの言葉の
曲がる端々を染めている


やわらかな刃の花の径
通りすぎた証として
常に水と手のひらを
傷の光にまたたかせて


水から水へ手繰る糸
薄目をあけ 河口へ向かい
まちがいのない双子の浪
問いばかり
問いばかり撫でて



黒と金
夕べの鈴に威厳なく
蒼の砂
夜から夜へのこだまとして
緑けずる空
贖いもなく降る笑みの
むずがゆい
むずがゆい朝の曇



庭のすみの
傷の光
名前を名前にほどくたび
午後は夜をすぎてゆく
影をしとどに鳴らしながら


浅い底に雪は来て
胴は暗く溝へ逃れる
水をゆく蛇を見つめる鳥
聞こえることのない合奏の
金と緑のはざまにうたう




























自由詩 降り来る言葉 XLVI Copyright 木立 悟 2010-03-25 09:46:27
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