ウォーターサーバー
士狼(銀)
噎せ返るような鉄錆の匂い
ぞぞぞぞと這い上がる、
正体不明の警告
止まない水音
ひたひたと忍びよるのは
影のない、
転がっていたのは物だった
しなやかな筋肉は硬直を始め
この眼はもう、
それを生物として捕捉しない
ぼくたちは
あといくつ、ブラインドを持てば
世界に適応できるのだろう
食卓に並ぶ死体の山、
ぼくは渇いている
ひび割れる前に、水を、
水を飲まなければ
蜃気楼に絡めとられてしまう
水を、
水は、
ブラインドの隙間から覗いた世界は
見たいものしか映さない、綺麗な世界で
とうの昔に水は失われていて
溜息、ひとつ。