バラナシ
蒲生万寿
荷を捨て
独り旅立ち
異国の河辺にたたずめば
思い出すことに
寂しき我が身に涙零すこともあるだろう
河面に映る私は
過去の者か?
これからの者か?
答え知らぬ間に
涙の波紋によって思案は途切れていく
やがて日も沈みゆく
河向うの乾いた地へ
私の姿を照らし
背後につくる
その影長くたなびき
消え果てる頃
辺りに夜が満ちて来
私を誰からも見えなくするだろう
ただ、ゆるゆると流れ行く河に
虫の音が入り込む
この音聴くは我独り
この河辺
この夜
私自身
自由詩
バラナシ
Copyright
蒲生万寿
2010-03-24 17:58:04
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