レモンでもミルクでも
瀬崎 虎彦
ヘリコプターのような方ですねと
僕が言ったので
相手は少しへりくだって
それからむすっとして
紅茶を飲んだ
暗い路なりに
銀色の聖餅が落ちているのを見て
これはパンでもないし餅でもない
しかしいわゆる象徴機能を負わされた
何気ない何者かであると覚悟する
海は少しずつ遠くなって
砂漠は広がっているという噂だ
しかし森林は破壊しなければ増殖を続けて
人間の文明を侵食するので
単純に味方だと思っていては危険だ
レモンでもミルクでもどちらでもかまいません
そんなことよりあなたの話を聞かせてくれませんか
もしかするとどこかで一度お会いしていませんか
もしかするとその時僕たちは鳥だったのか
あるいは野を駆ける獣だったのかもしれません