ブランコ
1486 106

満員のバスに揺られてる
ネクタイで首を締めながら
朝食も摂らず家を出てきた
キリキリ痛む胃を押さえながら

満員のバスに揺られてる
ため息で窓を曇らせながら
会社前の停留所で少しだけ
ボタンを押そうかどうか迷った

こんなに身を粉にして仕事のために尽くしても
自分の代わりなんて探せばいくらだっているんだ



錆びたブランコで揺れている
誰もいない夕暮れの公園で
近寄ってきた小さな子犬に
触ろうとしたら逃げられてしまった

錆びたブランコで揺れている
自分の居場所を見つけられずに
職場でも家庭でも必要とされていない
それなら何のために金を稼いでいる?

もしかしたらこのまま死んでしまったって
誰一人として悲しまないんじゃないかな



錆びたブランコが揺れている
寂しそうな音で鳴いている
家路へと着く背中を見送った
今日も昨日と同じように


自由詩 ブランコ Copyright 1486 106 2010-03-20 21:20:34
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