彼岸の花 
服部 剛

長い間、咲かなかった 
植木鉢のクンシランが数年ぶりに 
草の両腕をひろげ 
橙色の花々を、開き始めた。 

レースのカーテン越しに注がれる 
日のひかりの内に、今はもういない
在りし日の婆ちゃんの 
無邪気な明るい姿が、甦る。 

今日はお彼岸なので 
千葉から来る叔母夫婦と 
初老の両親と僕でお萩を食べ  
散歩がてらに寺まで歩き 

婆ちゃんの墓前にしゃがんで 
内緒の呟きを
打ち明けるように 
そっと両手を、あわせよう。 








自由詩 彼岸の花  Copyright 服部 剛 2010-03-20 17:35:01
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