気まぐれな虫かご
松本 卓也

泣いているかと思えば暖かく
微笑んでいるかと思えば寒い
まるで誰かさんのような季節
明日はどんな声を聞かせるの

笑顔さえ見られたら
それで満足だからとか
殊勝な戯言を口にして
もう少し素直に酔えたら良いのに

こちらを見ない双眸が
何も聞いていなかったように
瞬きしているだけだから
少しは思っていることを
教えてくれはしませんかって

問いかけるより先に
また一つ真新しく
また一つ無関係な事柄
話し出したりするもんだから

新しい水割りを口にして
頷くくらいしかやることがない弱虫を
瞳の中に入れてやってはくれんかね


自由詩 気まぐれな虫かご Copyright 松本 卓也 2010-03-18 22:25:34
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