光速
15フィールズ

(ねえ、誰かが誰かを愛するように、僕は僕を殺したくなるんだ)





春を見つけた君は
春を想うことをやめる
もう君の頭の中には
夏の雨さえ過ぎていっただろう





(もうすぐ、春だね)





色々なことが始まろうとしている
実際には何も始まったりはしない
君はそれを本当によく知っている
はるか地平線に君の背中が見えた





(君の眼が綺麗だなって、時々ぼんやりと思うんだ)





瞳を閉じて簡易的な世界を創る
そこで私を、君を、見つける
どこにでも行けて
どこにも行けない





(君は僕で、僕は君で、君と僕は、光の速度よりも、速く、速く、交差したんだ)





桜が咲き始めている
淡いピンク色の花を開いている
私はいずれそこに降る雪を想う
でも





(僕は孤独じゃない。だから、一人きりなんだ)





私はここにいて
君もここにいる
春はすぐそこだ
でもそれだけだ





(君の眼にはいま、冬がこびりついているね)


自由詩 光速 Copyright 15フィールズ 2010-03-18 13:38:18
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