遠距離恋愛‐君印‐
愛心

躊躇いがちに触れた指先が冷たくて
思わず肩を震わしたわたしに
君は苦笑しながら吐息をかける

春の始まりが垣間見えるこの頃なのに
夕闇に融けたそれは白く拡散した
ひっそりと二人を照らす電灯は
蟲を惹きつけその身を焦がす

アスファルトにおちるわたしと君の影
一つ 二つ 存在してる

話すことも尽きて門限が秒読みになっても
離れる気になれない
触れた手の熱が冷めない

『サヨナラ』が言えずに一人唇を結ぶ

次に会えるのは一体いつになるのか
全く見通せずに不安になって

証を頂戴


君を忘れないように
この温もりを 君のにおいを その笑顔を

わたしの言葉に君は
今まで見たことないくらい艶やかに 微笑わらって
わたしの敏感な首筋に八重歯を突き立て噛みついた

陰りに浮かび上がる赤黒い証

色も痛みも長い間残る から
嬉しいよ 心から

この涙は嬉しいからだよ

君の唇に噛みついてわたしは手を振った

また会えるまでサヨナラ







自由詩 遠距離恋愛‐君印‐ Copyright 愛心 2010-03-17 22:07:05
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