salco

サガリバナー咲く夜を通うもあしびの祖母が孕みし寅年の母
その母の父は縊りて廃屋で良人は東風を聞きつつ死せり

螢光灯テレビが照らし下肢温む炬燵死体の春の宵かな
べりべりとせんべい布団引き剥がし毛穴腐れの旅支度せむ

入棺の骨折りかけし薄ら目の虚空に似たる父の顔
四児生して無一物にて終りしは共産主義のその人らしき



 ✾サガリバナとは沖縄に自生する、夜だけ咲く夏の花です
 


短歌Copyright salco 2010-03-15 01:09:24
notebook Home