『凍結』
東雲 李葉

淋しさに抱き締められて声も上げられない。
凍り付きそうな体温に感化され青ざめてく。

溺れていってるのか、
絡めとられてるのか、
吸い込まれてるのか、
噛み付かれてるのか。

末端神経が麻痺して役立たずになっていく。
打ち棄てられた品物が今更涙を誘って。

泳ぎ切れば善いのか、
躱し切れば善いのか、
抗い切れば善いのか、
堪え忍べば善いのか。

血流が滞って体温が集まる場所がない。
受け入れてしまえば何も苦しまずに眠れるのに。

正体の見えない相手に苛まれ動くものすべてに怯えて。
甘い薫りを信じ切る余裕も見栄もないままに。
浮かび上がる機会など二度と来ないんじゃないだろうか。
泣き出したい。子供のように母の優しい手が欲しい。
たった一人で生きられるほど世の中は温くない!

淋しさに抱き締められて声も上げられない。
凍り付きそうな体温に感化され青ざめてく。

中枢神経が凍り付いて感情も出力できない。
打ち棄てられる前に誰か僕を抱き締めて。


自由詩 『凍結』 Copyright 東雲 李葉 2010-03-13 21:37:32
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