病にロック(remix)
nm6

駅前にすべり込む黒塗りのクラウンに太陽光。降りてくる半起ちの牛若丸に「クソ暑い」と吐き捨てて夜を待てば、彼女は得意げにチャイナドレスを着て「誕生日のプレゼントだ」と言い張る。ああやりきれない。「バロックすぎて感じないんだけど」とぼく。彼女は「あなたにはわからないの?」とほざく。こんなご時世に祈っても無駄だ。でっち上げた前向きで口内炎の苦い朝朱。ニュー。ひとりの病は街に溶けて、消えても何度でも生まれ変わるんだ。

夜な夜なしいたけのように夢を狩る君の迷彩服の模様を目でなぞっている。ゆるいカーブ、すこしきつい反対のカーブ、そして旋回。行きつ戻りつを繰り返すので、人生に岐路なんてない。地蔵から饅頭を盗んで「ゴシックすぎて見えないんだけど」とぼく。彼女は「あなたって盲目なのね」とほざく。酒のほうは人間のこと友達だなんて思ってませんぜ兄貴。ハオユー。ひとりの病はチョコレート姫に告げて、クレヨンのスネアドラムのパラディドル。


画板から飛び出してステアウェイ・トゥ・ヘヴン。
そうして世界中の駅前の、黒塗りのクラウンに太陽光。


ふたたび駅。キオスクの姉ちゃんに「どしたじぶんどしたじぶんばらばらなやいけ」と絡めば「おきゃくさんかてばらばらやないけ」と突っ込まれる。ひとりの病は街に溶けて、消えても何度でも生まれ変わるんだ。ひとりの病はチョコレート姫に告げて、クレヨンのスネアドラムのパラディドル。つまりぼくらはなんなのさ。それがなんならなんなのら。繰り返して暮れるならば途方だ。焦点のように縮こまるなら側転だ。いま世界で切符が買えないぼく一人。踊る阿呆にカスタネット。さあさあすっ飛ばそう。夕日。先っちょから伸びて咲く花。前後あり続ける止まらない駅前にて、はびこる病にどこぞのロック。


自由詩 病にロック(remix) Copyright nm6 2004-10-01 00:13:39
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