#16
山口清徳

繰り返し繰り返し、さっきから何度も電話のベルが鳴ってる
けれどどうせ逆回転のテープみたいなマネキンのひしゃげる音だから
僕は敢えてそれに取り合おうとはしない

ぷるるる、ぷるるる、ぷるるる、ぷるるる‥

5分に1回、まるで時報で計ったかのように正確に
道路工事の機械のようなマシンガンの発射音、
どうやら隣の部屋の住人まで撃ち抜いてしまったみたいだ
聞こえてくるのは、ガラス瓶の底を叩くような笑い声

かんかん照りの青空によくお似合いのワンピースを着て
居並ぶ男達をあしらうために出かけてゆくのが見えた
転がる玉子みたいな足取りで、大きな日傘を片手にさして

それにもお構いなしに電話はさっきからずっと
同じ調子で繰り返し繰り返し、鳴り続けてる

ぷるるる、ぷるるる、ぷるるる、ぷるるる‥

次にマシンガンが撃ち抜くのは一体誰なんだろう
僕のこめかみからは、去年の秋からずっと血が流れて止まらないまま


自由詩 #16 Copyright 山口清徳 2010-03-12 11:12:34
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