はじまりの詩
kimkim

今日、僕は初めて詩を書く
初めての僕には、詩の書き方がわからない
何を書けばいいだろうか?
そもそも、詩に書き方などあるのか?
それすらもわからない
教科書もない
ルールもわからない
まさに、そこは暗闇の中

千里の道も一歩から、と誰かが言った
でもぼくには、その一歩が踏み出せない
僕には道が見えない
僕には音が聞こえない
まさに、そこは暗闇の中

火を灯したい、不意にそう思う
火があれば、道が見える
でも僕には、火のおこし方が分からない
何を使えばいい?
何を燃やせばいい?
まさに、そこは暗闇の中

僕には、何もできない
この暗闇から抜け出すことはできない
道が見えない僕には、何もできない
何を頼りにして
これから進めばいいのだろう
まさに、そこは暗闇の中
果てのない暗闇の中

そんな暗闇の中で迷い嘆く僕に
不意に一筋の光が差し込む
その光は何なのか
何を意味するのか
僕にはわからない

不意に、一筋の光が僕を指す
光は僕の右手を照らす
その照らされた右手には
確かに黒のボールペンがある
確かに握っていたはずなのに
今やっと、はじめて気づいた
これで僕は書ける、書けるんだ

不意に、一筋の光が足元を照らす
その時、僕は確かに光の声を聞いた
書くためのペンを授けよう
あとは、君次第だ

僕はその言葉を聞き、書くことを思う
書く、書く。いや、書ける
僕は書ける、書けるんだ

不意に、風が耳元で吹く
風はその身に
ビル・エヴァンスのメロディを乗せて
軽やかに、確かに吹く
さあ、踏み出せとその身で僕に伝える

僕はペンを手に、書き始める
ルールはわからない
けれど、今は風に身を任せよう
風は確かに吹いている
僕の好きなメロディを乗せて、吹いている
風に身を任せれば
僕は何でもできる、きっとできるのさ

今ここに
僕のはじまりの詩が生まれる


自由詩 はじまりの詩 Copyright kimkim 2010-03-11 14:07:53
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