阿呆の星
salco
みぞれと言うのか
雨が凍っているというのに
こんな夜にも走る男がいる
気が済まない、
習慣に中毒したのか自己啓発強迫なのか
こんな夜くらいはさぼろうという気がない
上空で
雨が凍るというのにさ
白いよ、雪になりかかっている
上でかき氷してるんだよ?
家に鍋物と女の白い体でも待ってるのかな
でも、あの人地平線の向こうまで行っちゃうのかも
地球のπを知るのはランナーだけなのかもしれない
肺活量を惑星の表面と等価交換しているんだもの
心臓の鼓動で面積を実測してるんだものな
あたしの想像力より遥かに脚力があるわけだ
とりわけ宇宙の蓋が閉まったこんな夜は
走った方がいいのかもしれない
眠ったまま、みんな走った方がいいのかもしれない
そしたら地球は前方に転がり出すんじゃないか?
火星方向へ?
しかしもう半球では真っ昼間や早暁で人々が
悪事を行うから、引力が働いてしまうよな
地球にもうファンタジーは残っていない
風前のオーロラしか