阿呆の星
salco

みぞれと言うのか
雨が凍っているというのに
こんな夜にも走る男がいる
気が済まない、
習慣に中毒したのか自己啓発強迫なのか
こんな夜くらいはさぼろうという気がない
上空で
雨が凍るというのにさ
白いよ、雪になりかかっている
上でかき氷してるんだよ?
家に鍋物と女の白い体でも待ってるのかな
でも、あの人地平線の向こうまで行っちゃうのかも
地球のπを知るのはランナーだけなのかもしれない
肺活量を惑星の表面と等価交換しているんだもの
心臓の鼓動で面積を実測してるんだものな
あたしの想像力より遥かに脚力があるわけだ
とりわけ宇宙の蓋が閉まったこんな夜は
走った方がいいのかもしれない
眠ったまま、みんな走った方がいいのかもしれない
そしたら地球は前方に転がり出すんじゃないか?
火星方向へ?
しかしもう半球では真っ昼間や早暁で人々が
悪事を行うから、引力が働いてしまうよな
地球にもうファンタジーは残っていない
風前のオーロラしか


自由詩 阿呆の星 Copyright salco 2010-03-09 21:44:21
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