もう春だ
さき
ねえ
もっと
私を駄目にしてと
強請ったのは
かつて
と
木製の時計が
カツカツと
足音を立てる
カツカツと
あの人のようだ
去っていく
涙の味を
暫し忘れました
炊飯器のタイマーをセットする
習慣も忘れました
都合のいいことも
悪いことも
全部身になりませんでした
残ったものは
これだけと
手のひらを
捧げるよ
神様
心を
無くしてと
幾晩祈ったでしょう
なのに
私は
何度繰り返しても
繰り返しても
全てを知りたい
パンドラの娘
それですら
残酷で
いつも面白半分な
神様がくれた
プログラム
そうなんでしょう
ねえ
そうなんでしょう
あなたがいなくなって
私は本を読む習慣が復活して
結局今は一人が
怖くなくなったけど
懲りずに芽吹く
胎動と
また
誰かに
恋をする
そんな気がする
窓の外
もう
春だ