明日から香る恥ずかしい過去の臭気
蘆琴

「でもこのままじゃ老人の情緒は破壊され……」
シュルレアリストは衒学じみた微笑の編み目に沿って
互いに赤い精子を投げつけあうのだ

僕は今でも、優しすぎるくらい柔らかい体液を信じて
陶器でできた女の身体に祈り続けている
暗い倦怠の底で、螺鈿細工に見守られながら

空飛ぶKの幻想から薫り高き三葉の手紙を受け取って
かすかに、あのアリサという処女の消息の記されており
かたい妄想とやわらかい擾乱の嬰児を、波打ち際で産み落とし

神はそれを見ても良しとされた
飛来した銃弾は甘い蜂蜜のように部屋の隅で項垂れている
次の弾丸が上手くこの狭い門を通ったなら僕は結婚しよう

だからアリサ、君からも精神の迸りを分けて欲しい
灰色の道徳に染まりながら僕を避けやることだけは
絶対に止めて欲しい! それよりは僕を遠くへ飛ばしてしまえ!


自由詩 明日から香る恥ずかしい過去の臭気 Copyright 蘆琴 2010-03-08 16:39:18
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