見るまえに跳べ
……とある蛙

 
道の両側には並木
薄いピンク色の蕾が
枝枝にたくさん付いて
陽の光を透かしてピンク色の靄が
いま少しで満開の桜のトンネルになるが
しかし道の先は断崖だ。

そのまま並木を眺めるのは
君の自由だが
道はくねくね曲がっている
それだけではなく
その先は別れ道
さらにそれだけではなく
両側の並木の向こうも崖っぷちだ
馬の背を君は歩いている。

不安をたくさん抱えながら歩いている。

並木の枝枝には薄ピンクの蕾が
たくさん付いていて
陽の光を透かしてピンク色の靄のような

君は気づいていないかもしれない。
すぐ咲くはずなのに君は気づいていないのかもしれない。
そんなことに忖度せず
君は跳ばなければならない。

君はいろいろ決断しなければならないのだ
しかも立ち止まることはできない
時間は停止しないのだ
人生も停止しないのだ
この道は立ち止まっても
この道の何かは君を前方へ押し出す。
だから押し出される前に君は歩かなければならない。

決断した道が平坦であっては花も何も咲かない
平坦な道は退屈だ
ただひたすら退屈な道が絶壁まで続いている。

曲がりくねった道の先はすぐ断崖絶壁だ。
しかし、その先にも道がある。
その先の
その先の道にも桜の並木が続いている。

君は跳ぶのだ
悩んでいる暇は無い。

君は跳ぶのだ
一直線の平坦な道を望まない限り
下を見ては行けない。

君は跳ぶのだ
君の行く道が曲がりくねった道でも
でこぼこ道でも。

君は跳ぶのだ
跳ぶのを忘れないために。

君は跳ぶのだ
跳ぶのを恐れる前に。


自由詩 見るまえに跳べ Copyright ……とある蛙 2010-03-07 11:05:58
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