真夜中のロンド
高梁サトル


誰も知れない部屋に
愛しい疲れて飽いた私のプシケ
その瞳の黄金の闇に恋をしてから
どうにも朝が眩しくて

指先に掴めない月光を纏わせて
草原で花冠を編む
春雨のような声で静寂を歌いながら
踊る相手を待っている
リズムを取る爪先のラインストーンが
朝露のように草間に輝いて

遠くで潜む狼を呼び寄せて
あばらがういた腹を撫でれば
煌く牙に滴る唾液
おまえの美しい本性
私たちは贄
飢えに従ってまた飢えを知る

熱病にうかされたように回り続ける
翻す裾が破れるほど
上気したばら色の頬も
月の下では蒼白い

爪先の感覚がなくなる頃
薄情な朝陽は無骨なまでに
戯れの光景をありありと晒して

誰も知れない窓辺に
鳥に容を代えた私のプシケ
巡礼の旅支度をして
飛び立たずに止まって鳴いてる


自由詩 真夜中のロンド Copyright 高梁サトル 2010-03-07 04:10:30
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