誰も知れない部屋に
愛しい疲れて飽いた私のプシケ
その瞳の黄金の闇に恋をしてから
どうにも朝が眩しくて
指先に掴めない月光を纏わせて
草原で花冠を編む
春雨のような声で静寂を歌いながら
踊る相手を待っている
リズムを取る爪先のラインストーンが
朝露のように草間に輝いて
遠くで潜む狼を呼び寄せて
あばらがういた腹を撫でれば
煌く牙に滴る唾液
おまえの美しい本性
私たちは贄
飢えに従ってまた飢えを知る
熱病にうかされたように回り続ける
翻す裾が破れるほど
上気したばら色の頬も
月の下では蒼白い
爪先の感覚がなくなる頃
薄情な朝陽は無骨なまでに
戯れの光景をありありと晒して
誰も知れない窓辺に
鳥に容を代えた私のプシケ
巡礼の旅支度をして
飛び立たずに止まって鳴いてる